伊能忠敬(いのう ただたか)は日本全土の地図をほぼ正確に描いた江戸時代の人です。その地図は「大日本沿海輿地全図」あるいは「伊能図」と呼ばれ、大図の全214枚を広げて見ようとすると、体育館1面分にも及ぶ巨大なものになります。今回この伊能図を縮小して本にしたものが10月31日に出版されます。
伊能忠敬は最初、緯度の1度の弧に当たる部分はどのくらいの距離なのかと思ったのですが、それは蝦夷地(北海道)から江戸くらいの距離で測量しないと正確には分からないと天文学の師事の高橋至時(よしとき)に言われます。
それで伊能は幕府に地図測量を兼ねて緯度を計る認可を得るのですが、幕府はこれを国家プロジェクトにして各藩に協力を求めます。そして1800年から1821年まで全国で測量が行われてやっとの思いで全国地図が完成します。その完成度の高さは素晴らしく、幕府だけでなく、黒船来航で有名なペリー長官も驚いたといいます。
しかし明治以降、国家的な価値のある地図にもかかわらず、皇居火災や関東大震災で焼失したために、幻の伊能図となってしまいました。そして時が経ち、2001年になぜか米国で207枚の伊能図の写しが発見され、その後も日本で残りの写しが発見されて見事に伊野大図が復活しました。
大日本沿海輿地全図
上図は伊能忠敬の地図で1878年(明治11年)のものとされていますが、本当に今と変わらない日本地図なので驚いてしまいます。それと同時に、江戸時代ですでに日本人が緻密に作業できるということを証明していると思います。上記の地図は陸軍参謀局と書いてあるのですが、これは国土地理院の前身です。
この伊能図の大図(3万6千分の1)214枚、中図(21万6千分の1)8枚、小図(43万2千分の1)3枚をすべて網羅したものが2013年11月30日に発売されます。価格は12万6千円で2013年10月31日までに予約すると99,750円に割引されます。
伊能図大全【全7巻】 [大型本]
【第1巻】伊能大図 北海道・東北 【第2巻】伊能大図 関東・甲信越
【第3巻】伊能大図 近畿・中国・四国 【第4巻】伊能大図 九州・九州沿海図
【第5巻】伊能中図・伊能小図 【第6巻】伊能図の概説と各図解説
【第7巻】地名索引 総原図枚数 246枚/総図数792面